以前から時々耳にしていた「冬の海で釣れたボラは旨い」というお言葉。
寒ボラなんて呼ばれちゃったりして。
ずっと気になっていて食べたいとは思っていたのですが……。
狙う魚でもなければ、なかなかきれいなところで釣れることもなく、その機会が訪れないまま早十数年。
釣れたら食べてみたいなぁという気持ちも忘れていたところで、フカセ釣りをしていたらかかってきたのです。ボラが。
これは食べてみなければ!と、釣ったボラを持ち帰って食べてみることにしたのでした。
寒ボラはおいしいと聞くけれども……実際どうなのよ
ボラ a.k.a. イナッコ。
東京の荒川近くに実家がある自分からすると、汚い川の中を集団で泳ぎ、時には存在感たっぷりに跳ねまくっている魚。
そしてシーバスをルアーを投げていると釣れる、というよりも引っかかってきてしまう魚。

サイズが大きくてタモ入れすると、タモから漂う激臭が半端ない。
水を汚して臭くしている原因は人間なので申し訳ないのだけど、どうしても臭い魚として頭にインプットされているのです。
それゆえに、食べるという頭が全くなかったのですが……。
だいぶ前のこと、海でボラがかかってリリースしようとしていると、「逃がすならもらえますか?」と声をかけられました。
「冬のボラは脂がのっておいしいよ!」と釣りをしていた地域に住むという男性。
その後、冬の海のボラは旨い、という話を何度か聞くこととなり、ずっと気になっていたのです。
フカセ釣りで寒ボラをGET!
さて、そんなボラのことは全く頭にはなかった先日。
最近個人的ブームのフカセ釣りをしていたもののアタリがほとんどなく、アジでも……と粘って夜釣りを敢行した日。
突然ウキが消しこんだと思ったら、なかなかのスピードでギュンギュンとドラグを出す魚。どなたでしょ。

釣れてきたのが、ボラでした。
姿が見えた時には「ボラかぁ……」と思ったものの、“寒ボラは旨い”という言葉を思い出して慎重にキャッチ(笑)
その場で匂いを嗅いでみても臭みは少ないし、サイズも申し分無い。
お持ち帰りすることにしたのです。
脂たっぷり!寒ボラのしゃぶしゃぶがめちゃ旨だった
現地で血抜きをして、自宅に戻ってエラと内臓は取り除いて冷蔵庫へ。

翌日、調理して食べることに。
内臓を処理しているときにすでに脂がすごかったので、なかなか期待ができるのではないか、と。
献立は、寒いのでしゃぶしゃぶ。
ウロコをとって三枚おろしにし、皮を剥いで削ぎ切りに。

正直、外見からは想像できない綺麗な身。
懐疑心から捌きながらつい匂いを嗅いでしまっていたものの、ウロコや皮には若干の生臭さはあったものの、身からは匂いは感じられない。
保険として、香りの強い豆苗を巻いて食べる形に(笑)

皮をもっと深く剥げば赤身がもっと強く出たのかも。
ボラの皮は厚くて、他の魚よりも皮の剥ぎ方にコツが必要な印象がありました。
「ブリみたい!」と言う妻に同意。
確かに、これを見てなんの魚かわかる人は少なそう。

早速しゃぶしゃぶでいただきます。
スープにさっとくぐらせて、ポン酢につけてパクリ。
おおぉお、旨い。これは旨いぞ。
身をくぐらせるたびにスープに脂がテラテラと浮くくらい、身に脂がたっぷりと含まれています。
ブリしゃぶよりは食感はやわらかめではあるものの、クセがなく、脂の甘みは負けず劣らず。

しゃぶしゃぶ用に削ぎ切りにした余りの身は、生姜・ニンニク・ネギと一緒に包丁で叩いて、なめろうに。
こちらも臭みは無く、旨い。刺身でもいけるぞ。
もちろん釣れる環境にもよるとは思うのですが、ボラのポテンシャルに驚き。
頭の中から離れなかった荒川のボラが急速に頭から離れていき……(笑)
「寒ボラはおいしい!」という言葉で頭が満たされていったのでした。

